将来に向けて高校生活の日々で意識したいこと〜自分らしい進路選択とその先へ〜
目次
はじめに
この記事では、あなたの将来や入試を含めた進路選択に向けて、明日からの高校生活の日々の中で意識したいことについて一緒に考えてみたいと思います。
- これまでのあなたと未来のあなたをつなげる
- これからの選択に向けた準備
高校は分岐点
小学校〜中学校〜高校と、これまでは周囲の人と同じように進学してきたと思います。
でも、いつか迎える高校卒業後、どんな道に進むかは一人ひとり大きく異なります。
高校時代は進路に向けた分岐点であり、その先の人生に向けた分かれ道のスタートラインだということができそうです。
進路探しはみんなも不安
先行きが不安なこの時代、将来に向けて何かを自分で選択することはとても勇気がいります。
ここまでみんなと同じようにやってきたのに、これからの選択に向けて不安を感じて「いっそのこと、誰かに進路を決めてほしい!」と思う人も中にはいるかもしれませんね。
今、進路についてあなたはどう思っていますか?たとえば…
- 自分のことだし、いつかは決めなければいけないことはわかっているけど、今はまだ考えられないし考えたくない。
- なりたい職業がある。手に職をつけてその世界で活躍したい夢があるから、専門学校希望!
- 経済的に学費が課題。奨学金を利用して、家から近くてアルバイトができる学校に進学したい。
- 学校の授業でやったけど、自己理解をして、学問や職業や進学先の学校を研究して、自分の生き方とかも考えて選ぶらしい。
- 勉強して偏差値の高い大学・有名大学に行きたい。就職に有利?安定した大きい会社に入れる?
いろいろなとらえ方がありますね。
一人ひとり異なる、それぞれの進路だからこそ周りの人と比べて焦ったり、決めた方向がゆらいだり、時に落ち込んだり。
そんな気持ちを感じてしまうことは無理もないことです。
今が分岐点だとして、果たしてどのような道が「自分らしい進路」になるのかじっくり考えていきましょう。
自分らしい進路を見つけるために
では自分らしい進路を見つけるには一体どうしたらいいのでしょうか?
実は身近なところにヒントがあります。
あなたと進路先を繋ぐキーポイントとなるのは、あなたの発する「言葉」なのです。
まずは普段の生活の中で、日々の「できごと」を自分の言葉にしてみましょう。
例えば、『キレイな夕日が見えた』とき、「キレイだな」「キレイな夕日だと思う」と感じると思います。
さらにもう少し、自分の感動や心の動きを味わいながら、<小さなワクワク>を掘り下げていくとどうでしょうか?やりたいことや自分の興味につながることがあるかもしれません。
たとえば…
- @感動に浸って、自分の心の中で起きていることを表現して伝えたい!
- Aここを夕日の名所にできるかな?そうしたらお客さん来るかな?儲かるかな?
- Bこの色はどうやって身体の中で認識しているのだろう
- Cこの現象を多くの人に正確に伝えるにはどうしたらいいのだろう?
- D目や体の不自由な人にもこれを伝えられたら…
などなど。
わかりやすくお伝えするための例ですが、上記の@〜Dは、上級学校で学ぶ学問や専門性、仕事などともつなげて考えることができます。
学問との関係例 | 仕事との関係例 | |
---|---|---|
@ | 文学・人文、芸術 | デザイン・芸術系、音楽・映像系 |
➁ | 商学、社会 | 旅行・観光系、イベント系、商業・ビジネス系 |
➂ | 医療 | 医療系 |
➃ | マスコミ、工学・技術 | IT・コンピュータ系、マスコミ系、映像系 |
D | 医療、福祉 | 医療系、介護・福祉系 |
あなたはどうでしょうか?
そして、“なぜ”あなたはそう思ったのでしょうか。
「@感動に浸って、自分の心の中で起きていることを表現して伝えたい」方は、日ごろよく友達とのおしゃべりやSNSなどで身近な感動を発信して、盛り上がったりしているのではないでしょうか。
小学生のころ、夏休みの旅行でうれしかった経験を絵日記や作文にして、ほめられた経験があったり、自分が感動した映画の話をしたら友達みんなが見に行って感動を分かちあったりしたことがあるかもしれませんね。
実は、過去の経験やその時々の感情が目に見えない積み重ねとなって、今のあなたの個性・自分らしさになり、心の動きに影響を及ぼしているのです。
これまでのあなたと今のあなたは自身の経験を通してつながっているということになります。
周りの人と同じステップと言える小・中・高時代ですが、「その時間の道筋の中でどのような経験をし、どう感じてきたのか」はあなただけのかけがえのないものです。
だから、同じキレイな夕日を見たとしても、心の中に浮かぶことは一人ひとり違い、また、それぞれ違う意味があります。
『日々の「できごと」を通して自分の中で言葉を見つけていく』ということは、「世界にただ1つのあなたのこれまでの人生」で経験したこと、その延長線上にあるあなたの個性を、人に伝えられる形(=言葉)にして整理するということになります。
夕日の話でとりあげた、「言葉」が上級学校での学びや仕事などに結び付く例のように、今のあなたと未来のあなたは、あなたの中の言葉を通してつなげることができるのです。
ワクワクにアンテナを立てよう
では、その言葉の見つけ方について、もう少し紹介しましょう。これからの日々で意識し、ぜひトライしてみてください。
@興味・関心に気をとめる
先ほどの夕日などのように、ほんの少し気持ちが動いた<小さなワクワク>を探しましょう。
友達・家族など周囲の人との関わりの中で日ごろのちょっとしたうれしいこと、推しや遊び、趣味など、あなたが少しでもワクワクできる、楽しい気持ち、やりたい・やってみたいことなどにまずは意識してアンテナを立ててみましょう。
A気持ちを受け止め自分に聞いてみる
「できごと」を通して、ご自身の中から浮かんでくる気持ちを意識して受け止めつつ、「何でワクワクするんだろう?」と自分に聞いてみて、浮かび上がってくる言葉に気を留めてみましょう。
特に「他人はそうでもないけれど、自分には響く!」ということがあれば良い機会です。
自分だけで味わってみても、誰かに伝えたり、みんなとシェアしても良いですね。
Bこれまでの経験を振り返る
そのことに関係していそうなこれまでのあなたの経験について、振り返ってみましょう。
過去のあなたの経験と何か関係がありそうか、あえて結び付けてみることがポイントです。
イヤな気持ちや経験などを思い出す必要はありません。
楽しかったこと・好きだったこと・盛り上がったこと・夢中だったことなど、無理のない範囲で少しずつやってみましょう。
C自分のストーリーをつくる
浮かんだ経験があれば、それは今のあなたにワクワクを感じさせる、あなたの個性「自分らしさ」を形づくる、かけがえのない経験だといえます。
それを「私はこんな経験をしたので、今こんなことにワクワクしている」と、あなたのストーリーとして受け止めましょう。
友だちに見せて確かめ合ってみたり、誰にも見せずに自分だけのメモとして残しても良いですね。
このようなストーリーが、進路の先のワクワクにあなたをつなげていくのです。
このストーリーを、入試やその先の就職試験の時に「入学後」「入社後」のワクワクにつなげて書類に書いたり面接で話したりすればよいというイメージです。
D面談の機会を活用
学校の進路面談を活用してもよいでしょう。
この機会に「自分について」「自分の思う進路について」できるだけ言葉として先生に伝えてみてください。
準備ができていないとか、まだ整理ができないモヤモヤとした状態であっても、面談をきっかけにまずは話をしてみることで、自分の中で改めて気づいたり、確認できたりすることもあるでしょう。
「自分自身を言葉で伝える練習の場」として、改めて面談を意識し、話してみて、結果自分がどう感じたかを確認してみてもよいでしょう。
すこしずつ意識して進んでみよう
一方で、ワクワクにアンテナを立てようとしても、残念ながらそんな気分に縁がない、ブルーな状況が続いてしまうことは誰にでもあります。
特に、進路選択に関しては周りの人と自分の目指す方向性が異なったり、そもそもそれぞれが違う方向性であったりと、「自分だけひとり」と孤独を感じることもありそうです。
そのような時は、今の少し寂しい気持ちを自分で受け止めつつ、「高校時代が進路の分岐点」であることを思い出してください。
同じものを見て共感できる関係性はとても心地良いものですが、この先のさまざまな選択に向けて周囲の人と違うこと、違いを意識することがむしろ役立ちます。
これまで人と違うことがあまり多くなく、違うことが受け入れにくく、同じようにしてきたことがあたりまえだったとしても、ここからの選択は一人ひとり違うものとなっていきます。
周囲の人との差や違いにアンテナを立て、その違いから自分らしさ・個性を言葉にしていくこと、その個性につながったユニークな経験やその時の気持ちを思い出し、あなたのオリジナルストーリーにすることは、これからの選択に向けた心強い準備になります。
友達とのおしゃべりや授業で取り組むグループワークなどで、周囲の人とそれぞれの意見を交換すること、面談のようにきちんと話を聞いてくれる大人に話してみること、ネットの情報や発信を見て「私は違うと思う、なぜならば…」と意識することなども効果的です。
何が起きるかわからない、変化の激しい世の中といわれます。
その中で、あなたは日々新たな経験を重ねていくでしょう。
たとえ周囲の環境がどう変わろうと、自分の経験から創られた自分らしさを言葉にして、新たな環境とのつながりを見出し、言葉を伝え、理解されることで一歩前に進んでいくこと。
それが未来につながる「自分らしい進路」なのではないでしょうか。
まとめ
高校時代は未来に向けた分岐点ということから、「自分らしい進路」に向けて、これからの日々で意識したいことについて紹介しました。
少しずつ習慣にしていければ、あなたの未来を切り拓く、あなただけの言葉のコレクションができていくでしょう。試してみてくださいね。
本コラムでは『社会の中での自分のあり方を探究し、自分らしい意思決定ができる力』を、「キャリア探究力」と呼んで、これから皆さんが高校生活を通してその力を高められるよう応援していきます。
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