将来やりたいこと、これでいいのかな?〜不安をやわらげるヒント〜
目次
はじめに
高校卒業後の進路選択に向けて「やりたいことがみつかったかも!?」というあなた。
「夢に向けて前進あるのみ!」という方も、「これでいいのかな…?」という方も、この記事では、あなたの「将来やりたいこと」について一緒に考えてみたいと思います。
- 将来やりたいことに繋がった出来事・気持ちについて
- これでいいのかな?という不安をやわらげるヒント
- 保護者の方の理解について
将来やりたいこと〜進路をちょっと見つめてみよう
高校卒業後の進路で、あなたが「将来やりたいこと」。それは、どのようなできごとを通して気づいたり、見つかったりしたのでしょうか。
「なんとなく…」という方は、これを機会に振り返ってみましょう。「やりたいこと」には、感情を伴う経験が絡んでいるようです。
「ただ、好き。」ということでも、あなたが経験して感じたことに何か関係がありませんか?
- やってみたら楽しかったから
- 感動した・すっきりした・安心したから
- 人よりできるし、得意だと思うから
- 自分に合っていると思えるから
- 興味をもったから
- きれいだと思うから・カッコいいと思うから
- 苦しくても挑戦できるから・難しいことだから
- 自分の中にあるものを表現できそうだから
- 新しいから・知らないから
- 経験したことがないから など
これから先の進路に向けては、自分の経験と「やりたいこと」とのかかわりを言葉にして伝えていく(書く・話す)ことが必要になります。
ぜひ、そのできごとや気持ちをよく思い出しておきましょう。他人から見れば小さなことでも、自分にとって意味のあったできごとが思い出せればそれでよいのです。
そして、これからは、日ごろの<小さなワクワク>にもぜひアンテナを立てておきましょう。
決めてみたけど、その先は?
決めてみたものの、これからの時代、進学先の学校、その先の就職に向けて「これでいいのかな?」と不安を感じる高校生は多くいます。
次に、そんな不安をやわらげるヒントをご紹介しましょう。
@「やりたいこと」は変わるかもしれない
進路に限らず一般的なこととして、「やりたかったこと」が何らかの事情でできなくなったり、環境の変化の中でなくなったりすることはありえることです。
そもそも誰もが「やりたいこと」について、すでによくわかっているということは少ないと思います。実際にやってみたら「ちょっとちがった!」ということも当然あるでしょうし、逆に、最初は気が進まなかったことにはまってしまうようなこともありますね。
でも、そういうことの積み重ねが、あなたのかけがえのない経験になるのです。あなたの「やりたいこと」は、変わるかもしれないし変わってもよいということをまずは意識しておきましょう。
今は、高校生のあなたに「将来やりたいこと」があるということが、間違いなく素晴らしいことなのです。
A「やりたいこと」とどう向き合っていくのか
さて、あなたの「やりたいこと」を進路先の学校の専門性(学部や学科、専門学校のコースなど)として選択した場合、そのテーマとこの先どのように向き合っていくのでしょうか?
入学後は選択した分野について、学部・学科・コースで学びを重ねていきます。
そして、その後は、その専門性に向けた職に就くか、社会へのデビューに向けて就職活動をする人が大半でしょう。
一般的に、どこかの会社に就職する際は、学校時代の学び・専門性ややってきたこと、そしてやりたいことを就職試験で言葉にして伝え、それを評価されて採用されます。
ただし、「やりたいこと」が最初からできるか、続けてできるかというと就職先や専門性にもよりますが、そうではない場合も多くあるのです。
例えば、新商品の開発をしたくて食品メーカーに入社した人が、製造工程を理解するため工場の現場や、お客様や販売の現場を知るため営業の仕事の担当になる場合などです。
このようなことは、会社・組織などの安定や発展のためであり、あなた自身の社会での成長や活躍のためでもあるのです。
一方で、医療関係や看護、教員、美容など、職業とのかかわりが強い専門性を選択した場合、多くの人がその職業に就き、長く働くかもしれません。
ただ、実際にはそうしない人もいますし、途中から仕事を変えることも現実には少なからずあります。
逆に、民間企業での社会人経験後に学校の教員になるなど、初めは別の専門性を選択し、後からその道に入ってくる人もいて、前職での経験がかえって強みになるようなこともあります。
異分野での経験や専門性を持っていることは、現在の社会ではむしろ評価につながることも多くあります。
会社や組織が変化に対応していくため、多様性などといって、従来と異なる視点が求められているからです。
このように、高校の先の進路で選択する「やりたいこと」は、それ自体があなたの人生にとって、何かを100%決定づけるほど絶対的なことではないといえそうです。
変化の激しい世の中では、むしろ柔軟にとらえ、「まず選んでみて、いろいろやってみて、自分の気持ちを受け止めて、またその先へ進む」という感じでもよいのではないでしょうか。
もちろん、「やりたいこと」を貫いていきたい方は、そうできる道を選択し、進んでいけばよいのです。
B「やりたいこと」への多様なかかわり方
また、あなたの「やりたいこと」には多様なかかわり方や可能性があります。具体的な例でみてみましょう。
たとえば、「乗り物」について、直接・間接という軸と規模の軸でかかわり方のテーマを考えてみましょう。
わかりやすくお伝えするための例ですが、学部・学科や専門学校での学びが、さまざまなあり方で関わっていることがお分かりいただけるかと思います。
また、「洋服を通して人々の自己表現を豊かにしたい」場合、かかわる業種・業界を見てみましょう。
これもわかりやすくお伝えするための例ですが、洋服に関連し、さまざまな業種・業界がかかわっていることがお分かりいただけるかと思います。
「やりたいこと」に関わる道やあり方は1つではないことを意識して、日常生活の中でも「やりたいこと」に関わる仕事やテーマにアンテナを立ててみましょう。
あなたの「やりたいこと」は社会の中でさまざまなあり方があることに気づき、可能性の広がりを感じられるかもしれません。
この先、自分の選んだ「やりたいこと」が「ちがっている?」と感じた場合、上記のような視点で、専門性をあなたの新たな「やりたいこと」に役立てる手立てもありそうです。
進路先の学校で、選んだ専門性をすぐに変えたり辞めたりすることを意識するのではなく、その専門性にかかわる仕事やテーマを広げてさらに先の就職先を検討することもできるでしょう。
学んだことの活用や応用の可能性について先生に相談することなどもできそうですね。
「やりたいこと」が今あれば、この先でも見つけられるでしょうし、「やりたいこと」がどう変わろうと、また自分とのつながりをみつけ出し、そこに向けて一歩進めばよいのです。
保護者の方には理解してもらえそう?
あなたの、将来やりたいこと・進路について、保護者の方に理解してもらっていますか?
できるだけ保護者の方には理解をしてほしいところですが、1つ改めて意識したい点があります。
それは、保護者の方もご自身の「世界でただ1つの人生」の経験を通して感じたことを、言葉としてあなたに伝えてくるということです。
あなたとは、時代背景も経験していることも異なるので、もしかしたら今の現実と異なる理解があるかもしれませんし、今まで子育てをして、社会を乗り切ってきたというご苦労や、実際に見聞きしてきたものからあなたを心配して意見を言う場合もあるかもしれません。
また、大切なこととして、経済的なご事情も考えられますね。
意見が違ったり、時に頭ごなしに言われたりすると、「わかってくれない!」と反発したくなるのは無理もないことです。あなたも保護者の方も、実は、お互いに理解し合いたいという気持ちから逆に感情的になってしまうものなのです。
進路先や専門性、学びのテーマについて保護者の方のご意見が自分と違うように感じたら、つらいところかも知れませんが、ちょっとこらえて、一呼吸おいて、「なぜ、またどんなことがあって、そのことを自分に伝えているのか」その時代背景や実体験、理由や事情などを聞いてみてはいかがでしょうか。
あなたなりに保護者の方の主張が「そういうことがあって言っているのか」と理解できるようであれば、「○○ということがあったから□□と思うんだね、それはわかった」と一度言葉にして受け止めてみましょう。
そうすることで、保護者の方はあなたが理解してくれたとまずはホッとするでしょう。
その上で、「私は…」と、自分の「やりたいこと」についてあなたの経験をふまえて言葉にして、理解してほしいという気持ちもていねいに伝え、話し合ってみましょう。
まとめ
高校卒業後の進路について、「将来やりたいこと、これでいいのかな?」という不安をやわらげるヒントを紹介しました。
あなたの「やりたいこと」について保護者の方のご理解も大切になりますね。これからの方は、ぜひ一度話し合ってみてください。
先行きが不透明で変化の激しい時代といわれます。その中で、高校生のあなた自身が<小さなワクワク>から「今、やりたいと思えること」をひとまずみつけ、柔軟に考えつつ、進路先で学び、新たな経験を重ねて、社会で「やりたいこと」に関わる多様なあり方をイメージしていくこと。それを意識して日々を過ごすことで、あなたの未来もよりワクワクしたものになっていきそうです。
本コラムでは『社会の中での自分のあり方を探究し、自分らしい意思決定ができる力』を、「キャリア探究力」と呼んで、これから皆さんが高校生活を通してその力を高められるよう応援していきます。
高等学校のキャリア教育・探究学習を20年以上サポートしています。
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